つまらない嘘
夫はよくつまらない嘘をつく。
誰も傷つけるものではないし、あまりにもバカらしくて追及はしない。
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直近で言えば扇風機。
夫と一緒に帰宅した日、扇風機がついていた。
「扇風機、つけっぱなしだね」
淡々と伝えた私に夫から返ってきた言葉。
「ちゃんと消したよ。・・いま帰ってきて無意識に付けたのかも」
『・・いま、ココ(扇風機)まで来てもいないだろ』・・・心の中でつぶやく。
「そうだった?ゴメン」でいいのに。
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昨日で言えば飼い猫のこと。
私の入浴中(長風呂)に夫からLINE。
「いま、猫が和室で吐きました」
写真付き。
ここまではOK。
かねてより依頼していることができている。
吐いた内容を調べるから、そのままにしておくようにLINEで返信。
『吐いた内容を調べてから片付けてくれる?』・・そう伝えようか迷いながらやめる。
<吐いた内容を調べる>がちゃんと伝わるか自信がない。
急いで風呂から出る。
脱衣所で着替えをしていると、夫が食洗機の食器を片付ける音が聞こえる。
私の入浴中に洗いが完了したのだろう。
そして和室では、猫がおもちゃで遊んでいる音が聞こえる。
見ていない・・。
<普通は>、猫がまた吐かないか、気にならないだろうか。
・・いや、この<普通>、は、夫には高度だ。
では、<普通は>、和室の嘔吐物を猫が踏まないか、気にならないだろうか。
着替え終わり洗面所から出て嘔吐物の確認と処理をする。
そして夫に言う。
「食器を片付けてくれるのはありがたいけれど(ちなみに食器の片づけは20円の報酬)、こういうときは猫を見てくれる?嘔吐物を踏むかもしれないでしょ?何かあったときは猫・・命優先で動いてくれる?」
すると夫は「見ていた」と言う。
「見えないでしょ?」と返せば「見ながら食器を片付けていた」と言い張る。
だから食洗機の前に立つ。
「ここから和室は見えないでしょ」
『そもそもあなたは、2つ以上のことが同時にできないでしょう』
この言葉は飲み込んだ。
『透視できるの?』
この言葉も。笑える。
「ごめん」でいいのに。
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別にたいしたことではない。
ただ、夫がつまらない嘘をつく人間だ、言い訳が先に立つ人間だ、ということがわかっているから、普段も信用できない。
『それってホントかな』・・疑いを拭えないし、嘘や誤魔化しである可能性を否定できない。
それとも、そう、記憶が入れ替わるのだろうか。本人の中で。
脳の一部の隔たりが、そういうつくりになっているのだろうか。
そうやって自分を守っているのだろうか。
わからない。
ただ、指摘できる程度のことならマシだと思う。
本当に、たしなめることも怒ることも躊躇するほどの、「この人は障がい者だから仕方ない」と、差別意識が生じるほどの、重要な隔たりに比べれば。